今週のお題特別編「嬉しかった言葉 」
私は幼稚園の頃、プールが苦手だった。それを克服させようと母はスイミングスクールへ通わせる。結果、選手として大会に出場するくらいにはなった。それでもその先はなかったわけだ。
それでも泳げなかったこと、そして泳げるようになったことが活きる時がくる。
私はバイトでスイミングスクールのコーチをしていたことがある。小さい子供に接することがわりと得意だったこともあってとても楽しく充実した時間が過ごせた。
そんなときに「嬉しかった言葉」をもらった。
スクールが終わってみんなが帰っていく時に、ひとりの女の子が振り返って「あのね、たくさんコーチがいるけどね、私は○○コーチがいちばん好きだよ!楽しく教えてくれるもん!」と。とびっきりの笑顔で言って、そのまま照れくさそうに走っていった。
それまで子供たちにどう思われているんだろうなんて考えたこともなかった。ただただ自分が苦手だった頃のこと、できるようになると楽しいんだってこと、それを伝えたくて必死にやってきただけ…。その言葉を聞いた時、私はなにも言えなかった。ひとりになった時に、ただただ泣いた。嬉しかった…。
あの時の君の言葉、今でも覚えています。あなたは私のこともあの時のこともきっと忘れてしまっているでしょう。それでも君が泳げるようになったこと、その時の笑顔を見ることができただけでいい。そしていつか泳げるようになった歓びを誰かに伝えてくれたら。
あの時の君に「心から、ありがとう。」
今週のお題特別編「嬉しかった言葉 」
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