栃木SC J3降格”ほぼ”決定 【後編】
変えられるきっかけは松本育夫氏にあった
そんなクラブを変えるチャンスはなくはなかった。もったいないな、と思ったのは昨年末で退任した松本育夫氏の存在。
彼は栃木SCに来てから精力的に動いていたと思う。ファンや地元からたくさんの意見を 吸い上げようとしていた。ある居酒屋ではファンと育夫氏が語り合っているのをよく見かけたものだ。憶測でしかないけど、そういったところで得たものを運営 で活かそうと思っていたと思う。でも運営側がそれをさせなかったのでは…それで育夫氏が去っていったのでは…と。
彼の気持ちの熱さはス タジアムから離れていたサポーターにも届いていた。もちろんスタンドにいたサポーターはそれ以上の情熱を感じていたに違いない。そういった人が去っていく のは何か理由があるだろうし、それを引き止めようとしないというのも栃木SCらしいといえばらしいのだが。
問題は栃木 サッカークラブから熱い情熱をもった人から去っていくイメージがあること。そういった人員がいづらい環境なんじゃないかと。もちろん情熱だけで運営できる わけもないのだが、クラブを愛する心は必要だと思う。今のクラブに足りないものはその「愛情・情熱」なのではないかと思う。
来季は身の丈にあった運営を
J2昇格に向けていちばん大切なことは観客動員数を増やすことだと思っている。そのためにはどうしたらいいか。チケット代をあげることで収益をあげるのではなく、観客動員数を上げることで収益をあげる方向へと転換すればいいと思っている。
むしろスタジアムを埋められるようになるチャンスだととらえるべきなのではと思っている。老若男女、すべての層に楽しんでもらえるスタジアム・ゲームを。J3からやり直せるということはもう一度すべてを考え直す時間なのだと。
もちろん試合の勝ち負けは関係ない、という訳にはいかない。クラブ一丸となって優勝をめざすというのは何も変わらない。その中で楽しいスタジアムをもう一度構築していく。試合は選手、環境は運営が全力で取り組んでいく。選手たちがいくら頑張っても運営がしっかりしなければクラブは前へ進まない。この部分が栃木SCには圧倒的に足りなかったわけで、そこをどうあげていくか。外部からの声は必要ないのか。すべてを考え直すべきだと思っています。
ホームスタジアムはグリーンスタジアム
現在栃木県では宇都宮競馬場跡地に新たな競技場を作るという形でことが進んでいる。そこはもちろん栃木SCのホームスタジアムとなる場所だった。4万人を超える収容人数。でも今現在そのキャパシティは障害でしかないような気がする。
今はとにかくスタンドを埋めること。陸上競技場のトラックのない球技場専用スタジアムで試合の臨場感をより楽しめるホームスタジアム「グリーンスタジアム」を大切にしていくべきだと思う。そこを埋められないのなら新しい競技場など必要ない。
ピンチはチャンス。もう一度全てを見直すことのできるきっかけだととらえ前向きに地元、サポーター、クラブすべてが手を取り合って少しずつ大きなクラブにしていけたら良いのではないだろうか。